OCEAN DOCKYARD  ~1/200 model ship builder~
1/200スケールでラジコン船を製作しています。
1/200 まるゆ 製作記2
さて、鋭意制作中の陸軍潜水艦まるゆ(正式名称:三式潜航輸送艇)でございますが、「陸軍潜水艦」って考えれば考えるほどシュールな響きですなぁ。おいら、こういう訳のわからんのは大好きです。

で、まるゆについて情報を得る為に本を買ってきました。
光人社NF文庫「陸軍潜水艦」(土井全二郎 著)です。


この本を読むと、まるゆの開発をとおして陸海軍のあまりにも馬鹿げた非協力体制が具体的に理解できます。
そもそも、陸軍はガダルカナル戦以降、海軍を全くと言っていいほど信用していない節が伺えて大変興味深い本です。

まるゆの開発担当者と海軍関係者との話し合いの席では、こんなやりとりもあったそうな。

海軍関係者:「こんなへっぽっこメカは、とてもじゃないが潜水艦とはいえませんな」
担当者:「はぁっ!?そもそも、陸軍が自前で潜水艦を作らんといかんような事態に陥ったこと自体、海軍さんの責任では?」

巷では、日本陸軍は近代戦を全く理解していなかった頑迷な集団と捉えられがちですが、補給という面においては陸軍の方が多少は真剣に考えていたのかもしれません。

まぁ、陸海問わず、日本軍が組織全体として、「戦争に勝とう」というよりも「戦闘に勝てばよい!」という狭隘な意識が蔓延していたように思われますが、その中でも日本海軍って艦隊決戦至上主義に凝り固まっていた人が多そうですからね。

実際、ガダルカナルへの補給を担当した駆逐艦や潜水艦の艦長たちは、「何で俺たちが輸送任務なんかやらなきゃいかんのだ」とこぼしてやまなかったそうですし。

さて、そんなこんなで離島への補給のみを考えて開発されたまるゆですが、陸軍は決戦兵器の一つと位置付けて戦車の生産ラインを削ってでもまるゆの生産を優先したというのだから、このちっこい潜水艦にかけた陸軍の期待の大きさが窺い知れます。

しかし、その期待の大きさに反比例するように、出来あがったまるゆは全長41.4m、全幅3.9mと猛烈に小さく、潜水艦にとって伝家の宝刀ともいうべき魚雷兵装も積んでいません。運悪く任務の途上で会敵してしまったら、ひたすら潜航したままやり過ごすという、乗組員にとっては罰ゲームのような戦闘を強いる兵器となっていたそうな。

おまけに、船内に安全隔壁等は一切存在せず、海軍関係者に「潜水艦に隔壁が無いなんて、人道的にどうよ?」と問われるも、「まるゆが向かう戦地は、すでに制海権も制空権も無い状況だ。もし、そこで損傷して海中で行動不能になったら、救援の見込みなど万に一つもないだろう。ならばいっそ、すぐに楽になれる方がよほど人道的というものだ!」(キッパリ)と、開発者達の心理状況も極限の状態に追い込まれていたことが伺える。

また、乗組員も戦車兵や機械の扱いに詳しい兵を中心にかき集められたそうだが、通常海軍では5年間かけて行う訓練を、わずか3カ月間で実施するという鬼っぷり。これでまともに潜水艦を運用できたとすれば、海軍のメンツも丸つぶれというものだ。

まぁそもそも、海に不慣れな陸兵だけで、しかもこんな小さな潜水艦で敵がウヨウヨしている太平洋に漕ぎ出す事自体、鑑真和尚も裸足で逃げ出すほどの暴挙という気がしますけど・・・。

しかし、乗員達は恐ろしいまでの気合いとド根性を糧に、存在自体が無理ゲーともいうべきまるゆを、どうにかこうにか操船して見事にフィリピンまでたどり着いちゃったというから恐れ入る。人間やる気になれば、何でもできるんだね!

また、まるゆという兵器自体、船体をボイラー工場で作ってもらったり、戦車用の鋼板を流用したせいなのか、意外や意外に頑丈だったらしく、米軍の潜水艦に間違われて味方の輸送船に体当たりされても、陸兵による勘頼みの操船によって海底に激突したりしても、不屈の闘志!?で生還したんだそうだ。

陸軍謹製の潜水艦という、老舗和菓子屋による渾身のイチゴショートケーキみたいなシュールな一品のまるゆであったが、ブロック工法を採用して短期間に40隻近くも数を揃える等、錯乱した陸軍の一時の気の迷いの産物ではなかったようだ。

それどころか、良く考えると陸軍が思いつきと勢いだけで開発しちゃった水もの兵器達は、ホワイトベース(強襲揚陸艦)の御先祖様ともいうべき神州丸や、これまた対潜ヘリ空母の御先祖様ともいえるあきつ丸など、海戦兵器の未来予想図的な様相を呈しており、素人の思いつきを突破して、タイムスリップした技術者でもいたのでは?と疑いたくなるほどアヴァンギャルドな先見性に富んでいる。まるゆにしても、使い方によっては小型潜水艦による小規模戦闘部隊の潜入工作にうってつけかもしれない。

それこそ、当時の陸軍が開発した船だけで艦隊を編成したら、まんま現代のアメリカ海兵隊が出現しそうな勢いである。問題なのは、それを運用したのが当の帝国陸軍だったという点であろうか・・・。

なにはともあれ、艦これの大ヒットによって、歴史に埋もれまくっていたまるゆという脱力感全開兵器が、70年の時を超えて21世紀に大ブレイクしている事は大変喜ばしいことなのかもしれません。

あ、最後に模型はこんなん感じに進んでおります~。
プラバンでガシガシと箱組みしていきます。
P1060133_20140313220807d85.jpg

ぷっくりした船底は、木材から削りだしました。
P1060135_20140313220808948.jpg

複雑な曲面部は、パテを盛り付けてから削りだしていこうと思っています。
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コメント
コメント
マジでアバンギャルド
こんばんは。
陸軍艦船て、現代にも通じる先進性があったワケですね。
ちなみに「あきつ丸」が好きです󾬌
あ、日曜日の件、よろしくお願いします。
2014/03/13(木) 23:55:40 | URL | naruchan #cBDQp4Os [ 編集 ]
Re: マジでアバンギャルド
> naruchanさん
こんばんは。陸軍の方が、海の現実を知る海軍よりも、よりドリーミーな感じで、好き勝手にあったらいいな的に船を開発できたのでしょうね。
あきつ丸いいっすよね。形もけっこういけてる気がします。
日曜日、こちらこそよろしくお願いします!
2014/03/14(金) 00:09:09 | URL | azuken #- [ 編集 ]
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