OCEAN DOCKYARD  ~1/200 model ship builder~
1/200スケールでラジコン船を製作しています。
とある兵士(エア)の追憶
最近,自分がどうしてこの趣味にどっぷりとハマってしまったのかを考える事が多いです。

艦船模型に関しては,とあるおっちゃんとの出会いが(2012.5.8の記事参照)原因であることは間違いないのですが,兵器全般に関してはおっちゃんに全責任をなすりつけるのもなぁ・・・

てなことで,薄れかけていた青春の日々の記憶を紐解いていくと・・・いるわいるわ。
おいらの周りに,うじゃうじゃと変てこりんな軍事マニアたちがいたんでございますよ。

今日は,その中の一人。同級生だったI淵の思い出を語ろうと思います。


I淵との出会いは,中学校に入学してすぐのことでした。


みなさんの身の回りにもいませんでしたか?廊下ですれ違ったりする度に「バババババッ!どかーん!」とか銃撃の真似をする変な奴って。

それがI淵でした。ちなみに外見は,ホンジャマカの石塚に黒ぶち眼鏡をかけ,よりだらしなくした感じをイメージしていただけるとビンゴです。それはもう,見事なくらいのとっちゃんぼうやで,中一にして加齢臭が漂ってきそうなくらいの完成度でしたよ。


最初はおいらも,うざったいやつだな~くらいにしか思っていなかったのですが,ある時気づいちゃったんです。

I淵は,一人戦争ごっこ(今風にいえば『エア兵士』)をする前に,必ず状況を解説してからアクションに入りました。例えばこんな感じです。

「イギリス軍歩兵連隊が,カーン郊外の街道を進軍するドイツ軍を待ち伏せしている」(解説)
「来たぞ,来たぞ!ハンスの野郎!今こそダンケルクの借りを返してやるぜ~!」(兵士のセリフ)

うりゃぁ~~~!!バババババッ!って具合です。

で,一旦アクションが始まると,だいたい一つのシチュエーションでは終わらず,日本兵やらドイツ兵やら様々な国の兵隊が入れ替わりたち代わり登場するわけですが,必ず決まって最後のシチュエーションはこれでした。

「ドイツ軍SS部隊が,ソ連軍婦人部隊を急襲した!」(解説)
「隊長,あのスラブのメス豚どもに正義の鉄槌を下してやるであります!」(SS兵士)
「よし行け!我がゲルマン民族の強さを,あのいやらしい体に刻みこんでやるのだ!」(SS士官)
「あれ~,やめて,やめて,私には将来を約束した人が・・・」(ソ連軍女性兵士)
「ヒャッハーッ!!知ったことかぁっ,俺様の肉モーゼルで撃ち抜いてやるぜ~!」(SS兵士)



・・・・・。

今思い返しても,こいつ絶対頭おかしいですね。

で,何に気がついたのかというと,I淵がババババッと銃を撃つ真似をする度ごとに,銃の握り方や音が微妙に違っていたのです。

ある日おいらは,聞いてみました。

「I淵,お前ひょっとして銃によって持ち方とか発射音を変えてるのか?」

すると,I淵はアクションの真っ最中だったにも関わらず,いきなり真顔になって,

「あたりまえでしょ」と冷静に答えて,再び激しすぎるアクションにもどったのでした。

ちなみにその時のアクションはこんな感じだったと思います。
「イタリア軍フォルゴーレ空挺師団の兵士が,激戦の合い間をぬって束の間休息をとっていた」みたいな設定で,木陰でマンドリンを弾きながら鼻歌を歌っていたところ,さっき自分が埋めたはずの地雷を踏んだ。みたいな。(ある意味,彼は物凄い想像力の持ち主だと思います)

「マンマー,マンマー痛いよ,痛いよ!」
「あぁ,内臓が飛び出てる。あぁ,マンマ,マン・・・・」
そして,最後にぶるぶると身を震わせて息絶えるのです。

また,I淵の凄いところは,こんなばかげた事を6年間,いや奴は確か高2の時に留年したはずなので,おそらく7年間も継続したという点です。しかも,I淵のアクションが発動するのは休み時間に限ったことではなく,学校生活全般で起こりうりました。

たとえば,美術の時間にカッターで指を切ってしまえば,

「ぐっひゃ~!アンブッシュしていたグルカ兵にグルカナイフで切りつけられた~!!」となりますし,

体育の時間に転んで怪我をすれば,「衛生兵!衛生兵!!」とクラスの保健委員が来てくれるまでわめき続けます。

また,授業中に地震が起これば「空襲警報!空襲警報!全員壕に入れ!ウ~~ウ~~~(サイレンの音らしい)」と騒ぎ立てました。当然,I淵の発するサイレン音(今風にいえば『ボイス・パーカッション?』)は地震で揺れている最中鳴り続けます。

しかし,慣れというのは恐ろしいもので,周囲の人間も何年間もこいつの狂ったアクションに巻き込まれ続けていると,次第にそれが異常な行為であると認識しなくなり,日常の風景の一コマと化していったのです。

ちなみに,おいらの通っていた学校は中高一貫の男子校だったため,変態行為が女子の目に晒されるという自然淘汰が行われず,このようなお下劣でどうしようもないマニアどもの巣窟と化していました。



極めつけは,高校の修学旅行の思い出です。

夕食も終わり旅館でくつろいでいた時,おいらがふとI淵のいる部屋を覗くと,奴はビシッと起立し何やら同室の友人たちに向かって演説をぶちかましていました。

どうやら,I淵が以前から恋心を寄せていたクラスメイト(男子校ですので,相手は当然男です)に告白すると宣言したらしいのです。シチュエーションは・・・・



当然,特攻隊・・・。


「みなさん,今までお世話になりました! わたくし,行(言)ってくるであります!」


呆然とする皆をよそに,クルリと踵を返したI淵の首元に,不覚にも白いマフラーの幻を見たのはおいらだけではなかったと思います。


が,数分後。

ふらふらとした足取りでI淵が戻ってきました。


「くぅっ,燃料が,燃料が・・・俺の勇気という名の燃料が足りず,不覚にも敵艦隊まで辿り着くことができませんでしたぁぁっ!」


そう叫ぶとI淵は泣き崩れ,「かくなる上は,潜水艦攻撃に切り替えて,入浴中に不意を突いて襲い掛かるつもりであります!」と,とんでもない事を言い始めました。

さすがに,これには同室のメンバーもびっくりして,「やめろ,I淵!そんな卑怯な手を使ってまで本懐をとげてどうする!」と,何だかよくわからない説得をし始めたので,頭が痛くなってきたおいらは,ふらふらとI淵の部屋を後にしたのでありました。

高校卒業後,おいらは留年して後輩となってしまったI淵の消息を知りませんが,きっと今でもどこかの街角で,バババババッ!どかーん!とやっている変なおっさんになっているんだろうなぁと確信している次第であります。





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コメント
コメント
あるよね~。
おはようございます。
男子校の場合、どんなマニアでも、先鋭化していきますね。
女子がいれば、ドン引きするような話でも普通にできてしまうのが恐ろしいところでもあります。

そして、修学旅行といえば、BL系の方々にとっては、「皇国の興廃この一戦にあり」状態と言っても過言ではありません。
私も、修学旅行の最後の夜に「22:00海岸ニテ待ツ」というメモをもらいましたが(-.-)y-~
もちろん、シカトだよ。そんな趣味ねーし。

ですが、その後のI淵氏については、興味深いところです。
2013/06/09(日) 08:26:29 | URL | naruchan #cBDQp4Os [ 編集 ]
Re: あるよね~。
> naruchanさん
やはり男子校は歪みますよね~。いろんな意味で。
しかし、「22:00海岸ニテ待ツ」って・・・・。完全にガチですね。
行ってしまっていたら、今のnaruchanさんはいなかったかも!?
ある意味恐ろしすぎますな。
2013/06/09(日) 23:19:39 | URL | azuken #- [ 編集 ]
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