OCEAN DOCKYARD  ~1/200 model ship builder~
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イタリア艦隊 大活躍!? 其の三
1942年6月15日、06:30頃。
ダ・サール提督に率いられたイタリア艦隊は、パンテレリア沖にてハープーン船団の護衛艦隊を発見。直ちに攻撃を開始した。
イタリア艦隊はイギリス軍のいずれの砲の射程より遠い距離から攻撃してきたので、護衛艦隊は全く反撃することができずにハープーン船団は大混乱に陥ってしまった。
しかし、イギリス軍はここでも伝家の「見敵必戦」精神を発揮し、護衛艦隊は煙幕を展開して輸送船を隠しつつ、果敢にも優勢なイタリア艦隊に向かって襲いかかっていった。ところが、イタリア艦隊の射撃は正確で、護衛艦隊旗艦のカイロは二発の命中弾を喫して中破、駆逐艦2隻も撃破されてしまった。
イタリアのダ・サール提督は巡洋艦2隻の大口径砲をいかしたアウトレンジ戦法をとり、主力部隊は無理な突入を避けつつ戦闘を継続した。

資料によっては、ダ・サール提督のこの作戦指揮について、決断力不足とか戦闘意欲の欠如のように書かれている場合があるが、それはちょいとダ提督が可哀そうだ。
これまでの戦闘の結果を見れば、イタリア艦隊の戦闘能力はイギリス軍と比べるべくもなく劣勢で、よもや至近距離の戦闘になりでもしたら「窮鼠、猫の頸動脈を噛み切る」ような悲劇にでもなりかねない。
事実この海戦においても、煙幕突破を図ったイタリア駆逐艦2隻は、すかさずイギリス駆逐艦による猛反撃を食らって撃破され、1隻は行動不能に陥ってしまったのだ。相手の砲がこちらに届かない以上、時間はかかっても長いリーチで一方的にタコ殴りにしていった方が安全かつ確実に勝てるというものだ。

イタリア艦隊がイギリス軍にとって嫌~な距離を保ちつつ攻撃してくることにより、イギリス護衛艦隊は牽制と反撃を繰り返しているうちに船団との距離が開いてしまった。いや、水上艦艇に襲われている以上、護衛艦隊としては船団と敵を離すためにに積極的に距離をとったというべきかもしれない。

しかし、この日のイギリス軍には本当にツキが無かった。きっと、この日のラジオ番組の朝の占いでは、チャーチルの運勢は大凶だったに違いない。

07:00頃、護衛艦隊から離れていた船団にドイツ軍機が襲いかかった。
そもそも、船団の護衛艦隊は対空戦闘に特化した構成だったにもかかわらず、イタリア軍のまさかの水上部隊出撃により釣り出された揚句、留守を突かれる形で航空機の攻撃を許してしまった。まさに、敵艦にも敵機にも手が出せない状態に陥ってしまったのだ。

丸腰の船団は、なす術もなく航空攻撃にさらされてしまい、1隻が沈没、2隻が重大な損傷を被ってしまった。

ここまでは見事なまでに「ずっと俺のターン!」な状態だった枢軸側であるが、ここにきてやっとイギリス側にもツキが回ってきた。
ノリノリのダ・サール提督は、「イギリス軍は進路上の機雷原を絶対に回避するはず!」とズバリ予想し、先回りして待ち伏せてやろうと戦場を離脱してしまったのだ!

あまりのツキの無さに、半分諦めの境地に達していたであろうイギリス側は、それを見て「!?????」な状態だったに違いない。
だって、敵はこのままワンサイドゲームで勝つことができたはずなのに、勝手にリングから去っていっちゃたんだから。

これにより、少しの間だけほっと一息つく事のできたイギリス軍であったが、残念なことにまたもや枢軸側の「俺のターン!」が始まった。
この後、船団はさらなる航空機の猛攻撃によって、2隻の輸送船を失ってしまったのだ。
結局、イギリスにとってはイタリア艦隊の戦場離脱も、ホラー映画でよくある更なる恐怖の前触れでしかなかったようだ。

おまけに、待ちぼうけを食らわされたことに気がついたダ・サール提督が猛ダッシュで戻ってきて、損傷して速度が遅くなっていた駆逐艦に襲いかかった。
哀れ、この駆逐艦はフル・ボッコにされて海底に消えていく・・・。
しかし、可哀そうな犠牲により、船団はイタリア艦隊から逃げおおせる時間を得たのであった。
この直後、深追いを恐れたイタリア軍上層部の命令により、ダ・サール提督は未練たらたらに基地へと帰頭していった。

イギリス側が「マンモス・ラッキー!」と喜んだのは束の間。船団は、ダ・サール提督が「イギリス軍もその存在を知っているはず」と勘違いした件の機雷原にハマり込み、駆逐艦1隻が沈没、他にも4隻が損傷してしまった。

結局、わずか2隻の輸送船しかマルタに到達することができなかったのだが、この2隻が運んだ貴重な物資によって、瀕死のマルタは何とか生きながらえることができたのでありました。チャンチャン。

以上がパンテレリア沖海戦のあらましなのだが、大枠としては水上部隊のプレッシャーにより輸送船団が混乱に陥り、護衛の手が届かないところで輸送船がボコスカとやられていくというものだ。


ん!?ちょっと待てよ、この構図は輸送船団壊滅の代名詞ともなっているPQ17船団の悲劇と一緒ではないですか!


ちなみに、PQ17船団の悲劇とは「ドイツ様の大戦艦ティルピッツが出撃!」という報によりパニックに陥ったイギリス軍上層部からの命令で、船団が洋上で解散してしまい、飛行機と潜水艦によって丸腰の輸送船が数多く葬られたというものだ。

この戦いでは、ティルピッツはちょいと出港しただけですぐに基地に引き上げているのだが、後の評価は「さすがはティルピッツ様!その御威光だけで敵は大混乱、御蔭様で飛行機と潜水艦により大戦果でございます」てなもんだ。

イギリス軍よ、どんだけティルピッツが怖ぇえんだよ・・・。と思ってしまいますが、ティルピッツの同型艦であるビスマルクの剛拳一撃でフッドを沈められ、張り手一発で最新鋭戦艦のプリンス・オブ・ウェールズを撃破されたあの悲劇を思えば、仕方がないのかなぁとも思っちゃいます。

ともあれ、イギリス軍になめられきっていたイタリア海軍が、たまたまとはいえ見事な空海共同の攻撃により輸送船団を壊滅に追いやった事実は忘れてはならないだろう。

おいら的には、戦場に鼻先も現わさなかったティルピッツなんかよりも、戦場を駆け回って輸送船団を追い回したダ・サール提督達の方がよっぽど勇敢だったと思います。

てなわけで、引き続きイタリア艦隊無双な戦いを発見次第ご紹介していきたいのですが、あるのかな~?

なんだか日本で油田を見つけるよりも難しそうです・・・。

それでは、また~。
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テーマ:軍事と兵器 - ジャンル:趣味・実用

コメント
コメント
楽しませて頂きました
知れば知る程弱いゾ!イタリア軍ってな訳ですが、たまには勝ってるんですね(汗)

後は水上艦じゃないですが、アレクサンドリア港攻撃とかですかね?
2012/06/21(木) 01:24:30 | URL | ナオ #eYj5zAx6 [ 編集 ]
堪能いたしました。
頑張っちゃったんですね。
イタ艦、デザインがいいだけか?とか思ってましたが、活躍もしてたんですね。
指揮官がうまかっただけだったりして。
2012/06/21(木) 05:23:08 | URL | naruchan #cBDQp4Os [ 編集 ]
Re: 楽しませて頂きました
>ナオさん
大型艦となると、本当に負けた話しかないんですよね。
逆に小型艦だと、そこまでやる!?ってくらい勇戦敢闘しちゃうイタリア海軍って一体・・・・・。
2012/06/22(金) 05:08:08 | URL | azu ken #- [ 編集 ]
Re: 堪能いたしました。
> naruchanさん
がんばっちゃったみたいです。この戦いでは。
やはりダ・サール提督の戦意が旺盛だったからなのでしょうか?
とすると、上級仕官達がもう少しやる気があったら、違った結果になっていたのかもしれませんね。
2012/06/22(金) 05:11:38 | URL | azu ken #- [ 編集 ]
十字軍の時代は無敵
十字軍時代はヴェネツィアやピサの海軍は無敵艦隊だったそうですよ。
イスラム勢力に一度も制海権を渡さなかったそうです。案外本気を出したら地中海の中だけなら強いかも。太平洋は無理かも。
2012/06/23(土) 06:37:08 | URL | 真鶴住人 #xoejNlHw [ 編集 ]
面白かった~!
毎度面白く表現されてますね~、楽しませて頂きました♪

イタリア人に意見聞いてみたいです、どうしてそんなに弱いのか(苦笑)

個人レベルなのか組織レベルなのか国レベルなのか、絶対どこかに問題があったハズですよね。

その中でもキラリと光るダ・サール提督の活躍、ホレました♪
2012/06/23(土) 07:19:58 | URL | ふぢさわてつや #- [ 編集 ]
Re: 十字軍の時代は無敵
>真鶴住人さん
イタリアが無敵艦隊だった時期があったんですね!
小型艦艇の乗組員などは間違いなく、そのDNAを引き継げたのでしょうが問題は大型艦艇・・・。
なんだか、如何ともし難いレベルに到達しているようです。
2012/06/24(日) 01:19:15 | URL | azu ken #- [ 編集 ]
Re: 面白かった~!
> ふぢさわさん
ありがとうございます。私の駄文で楽しんでいただけたのならば幸いです。
イタリア海軍の弱さは、上級仕官の無能と官僚主義的システムにあったらしいのですが、個々兵士の活躍ならピカリと光る逸話は多いですよね。
近代の大型艦艇による戦闘は、それこそ千人単位の兵士達の活動による集団戦ですから、個々のやる気や能力よりも組織としてのシステムやらなんやらが戦いの趨勢を決めてしまうからなのだと思います。せちがらい世の中っすね。
2012/06/24(日) 01:27:14 | URL | azu ken #- [ 編集 ]
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2012/06/22(金) 14:34:19 | まとめwoネタ速neo